「書評」

 

第4号

 島田昌寛「東京大空襲被災記」が、その凄惨さを記録しているのを読みました。また。荻野央氏が「関東文芸交流会」サイトで批評されています。詩では田村淳裕「三月の朝の雨の」もいいですね。毎朝が「死にふちどられた一日のはじまり」という詩です。

「文芸同志会通信」2014年8月15日

 

 島田昌寛の記録「東京大空襲被災記」は、題名の示すとおり昭和二十年三月十日のことを描いた。戦後七十年を迎えようとする現在、とても貴重な記録である。戦争のことはもっと多くの体験者が書くべき題材である。柊木董馬の小説二編「干天の慈雨」、「朴葉焼き」はよい作品だが、ストーリーに甘さが漂う。ストーリーに依拠するのではなく人生の苦味、人間の心理を描いてこそ文学である。感性はよいので今後に期待したい。

「全作家文芸時評」