【「大池こども自然公園生態系レポート-1」かいぼり編(上)鈴木清美】
 長年にわたって地元の大池公園の自然を写真撮影や、生き物観察の場に愛好してきた写真家の作者が、編集者の依頼で、公園と大池のかいぼりの話が生まれるところから、住みついた外来種の魚類、動物などについて記す。こうした活動は自治体のやる気がないと、なかなか進まない。同時に、のちに地域の歴史に関しての貴重な資料にも成り得る。
 イギリスの居酒屋パブで、飲み客が町の噂や政治談議をしたこところから、パブリックという言葉が公共性の意味を持つようになったそうである。パブリックとジャーナリズムを合わせた機能を、文芸同人誌に折り込む試みに期待したい。写真も素晴らしい。一瞬の現象をスーパーリアリズムや幻影にちかい手法で表現するための努力が見える。同時にこれが永遠の一瞬かと、感じさせる。
 今回は難しすぎて、紹介ができないが、同時掲載の評論「ハイデガーを想う」柏山隆基の存在論を具象化したようにも見えるカメラ視線である。

 

【「カップマルタンの休憩小屋」衛藤潤】
 これは自衛隊員を兵士というより、公務員意識から描いた異色の作品である。時がくれば光があたるであろうと、想わせるものがある。

 

【随筆「かたち」草野みゆき】
 愛猫の葬儀所を探すはなしだが、細部の説明と描写が的確で、エッセイを超え、小説になっている。ただこの文才が、猫好きによるものか、持ち前の才気なのか見分けがつかないが、構成が巧みで面白い。

 

【「クラシック日本映画選5-カツライスアゲイン『座頭市物語』石渡均」】
 勝新太郎の映画の「座頭市」の解説で、運が良ければ、BSテレビでの再放送で鑑賞ができる。我が家のテレビは、26Vだが、BSの映像で見ると、撮影時における光と影の工夫のあとがはっきりすることがある。だから、光と闇の話はとくに面白かった。

 

【おとなの童話「ねこくる日々」片瀬平太】
 叙事と言葉のリズムの感覚が心地よい。つまり、文章表現が巧みということになる。

 

文芸同士会通信